精福「精神疾患とその治療」①
精神現象の生物学的基礎
大脳は、左右の大脳半球からなり、前頭葉、頭頂葉、側頭葉、後頭葉に分けられます。
大脳基底核は随意運動に重要な役割を果たしており、この障害によりパーキンソン病やハンチントン病などの不随意運動が現れます。
間脳には、視床下部があり、視床下部は自律神経系や内分泌系の中枢となっています。
小脳は、平衡機能、筋緊張、随意運動を調節しています。
脳幹は、中脳、橋、延髄から成ります。生命維持に関する呼吸中枢、心臓中枢などがあります。
末梢神経には、体性神経系と自律神経系があります。自律神経は交感神経と副交感神経から成ります。
交感神経は、運動時や興奮時に働き、血圧上昇、脈拍増加、消化器系抑制などの作用があります。副交感神経は、休息時に働き、血圧降下、消化器系促進などの作用があります。
精神疾患の成因と分類
内因性精神障害・・・遺伝や体質 双極性感情障害、統合失調症など
外因性精神障害・・・外傷、脳の障害 パーキンソン病、脳血管障害など
心因性精神障害・・・ストレス、トラウマ 心身症、適応障害、パニック症など
代表的な疾患
◆認知症・・・知的機能、精神機能の低下により、日常生活や社会生活にし祖父をきたしている状態。アルツハイマー型認知症、血管性認知症、レビー小体型認知症、ピック病、クロイツフェルトヤコブ病、パーキンソン病、ハンチントン病、正常圧水頭症などがあります。
◆てんかん
部分発作(脳の特定の部位):単純部分発作、複雑部分発作(意識障害を伴う)
全般発作(起始部位は不明):欠伸発作、ミオクロニー発作、強直間代発作(大発作)
◆精神作用物質による精神及び行動の障害・・・急性中毒、離脱症状、ウェルニッケ脳症(ビタミンB1の欠乏)、健忘症候群(コルサコフ症候群など)があります。
◆統合失調症・・・生涯有病率は、約0.7%。発症原因は不明ですが、ドーパミン過剰、ストレスに対する脆弱性が有力です。
〈陽性症状:幻覚、妄想、滅裂思考、奇異な動作〉
〈陰性症状:無為、自閉、感情鈍麻、意欲低下〉
シュナイダーの一級症状・・・考想化声、対話性幻聴、作為体験、思考奪取、思考伝播、妄想知覚など。
破瓜型・・・青年期に発症。感情鈍麻や自閉傾向。予後は悪い。
緊張型・・・精神運動興奮やカタレプシー。回復は早く、ほぼ寛解する。
妄想型・・・30歳前後で発症。幻覚や妄想。
単純型・・・陰性症状が中心。